可愛い彼にはご注意を!
「娘さんを必ず幸せにすると約束しますから、結婚させてください!」
稔さんの前で頭を下げる。
社長の妻という肩書きは重いかもしれない。
それでも、幸せにすると約束する・・・。
そういう思いで俺は頭を下げた。
すると、クスクスと笑う声が聞こえた。
「君は両方を取るんだ・・・。そういうの、好きだよ。」
「は?」
急に緊張感が無くなって少し間の抜けた声が出てしまった。
どういうことだろうか?
首を傾げていると俺に椅子に座るように稔さんは促した。
「僕はね、昔から仕事人間だった。
そんな僕でも1つ守っていることがある。」
「・・・・・・。」
「家族の側にできるだけいる。
・・・・・・これだけは守ってきたと思う。」
そう言った稔さんはわずかに微笑んだ。