ring ring ring
わたしたちは、『ふたりだけの空間』から出て、人ごみの中へと場所を移した。お台場という場所柄、観光客も多く、どこもかしこも人だらけ。まっすぐ歩くのはもはや不可能だった。人気のショッピングモールで、人をかきわけ、誰にもぶつからないように進んでいると、ふいに高林くんが、
「はぐれないように」
と手を差し出した。
「えっ?いやいやいやいやいやいや、大丈夫だから」
付き合ってもいないのに!と躊躇してしまうわたしは、なんて乙女なのか。ところが高林くんは、そんなわたしの心中を察することなく、不快な顔をした。
「何でこの期に及んでイヤがるんすか」
「だってだって、付き合ってるわけでもないのに、ラブラブみたいじゃない」
「はあ?!」
高林くんが突然、立ち止まった。少し後ろを歩いていたわたしは、その細マッチョな背中にどんとぶつかる。
「ちょっと、あぶないでしょ、あ、すいません!」
人ごみの中、急に立ち止まるのはマナー違反だ。間髪入れずに後続の人とぶつかってしまった。
「はぐれないように」
と手を差し出した。
「えっ?いやいやいやいやいやいや、大丈夫だから」
付き合ってもいないのに!と躊躇してしまうわたしは、なんて乙女なのか。ところが高林くんは、そんなわたしの心中を察することなく、不快な顔をした。
「何でこの期に及んでイヤがるんすか」
「だってだって、付き合ってるわけでもないのに、ラブラブみたいじゃない」
「はあ?!」
高林くんが突然、立ち止まった。少し後ろを歩いていたわたしは、その細マッチョな背中にどんとぶつかる。
「ちょっと、あぶないでしょ、あ、すいません!」
人ごみの中、急に立ち止まるのはマナー違反だ。間髪入れずに後続の人とぶつかってしまった。