天国からの愛してる[短編]
愛してる
0*




俺は…死んだのか?






ホントに死んだのか?




な…ぜ?





俺の目の前には…血だらけになった俺と、その俺を泣きながら抱きしめる愛しい愛しい君がいる。






「何…泣いてんの?俺ならここにいるよ?」





そう言って君の頭をなでようとするが…触れれない。





何でだ?





俺…ホントに死んだの?





自分でも何も実感がない。





別に宙に浮いているわけでもなく、体が透き通っているわけでもなく…ただ、君に触れないだけ。




君に俺の声が届かないだけ。




あぁ…人って死ぬとこうなるんだ。




ただ、漠然とそのことを理解した。




するとしばらくして救急車がやって来た。




あー…思い出した。




俺、ナイフで刺されたんだ。




通り魔から…愛しい君をかばって。




だから君はそんなに泣いてるの?





もう泣かないで?




泣いても俺は……もう、君に触れることすらできないんだから。






俺なんかのために…君は泣く必要はない。




笑ってよ?




俺、泣き顔よりも笑った君の顔が好きなんだよ?




笑ってよ?




俺、死んじゃったけど…君のコト、ちゃんとここで見てるから。




笑って?笑って?俺に…愛してるって言って?




俺を強く強く抱きしめて?




でも…もう、この想いは届かないんだ。



君には俺の事が届かないんだ…。



駆け付けた救急隊が俺の死体へと近寄る。



それでも君は俺の死体から離れなくて…。




俺は、そんな君を後ろからただ見つめることしか出来ない。




ねぇ?後ろを向いて?



そうすれば俺がいるのに。



救急隊が君を取り押さえる。



でも君はただ泣いて、叫んで…俺の名前をよんで…。



もう、やめてくれ。



何で…そんなに泣いてんの?



俺が…辛いよ。



救急隊が俺の死体の脈をはかる。



……そんなことしても、何も意味がないよ?



俺はもう死んじゃったんだから…。




君を残して。



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