偽りの愛は深緑に染まる

 佐渡山は、本当にサド山だった。

 周りからは人当たりのいい印象を持たれているようだが、どうやら普段は猫を被っているらしい。

 会社を出た後、梨沙は佐渡山のアパートへ連れて行かれた。

「これ書いといて」

 佐渡山はそう言って、机の上の葉書の山を指差した。

「何これ、懸賞……? って何枚あるのこれ!」

 葉書の束を手に取る。三十枚くらいありそうだ。

「こっちが宛先。頑張ってねー」

 
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