偽りの愛は深緑に染まる

「あのさあ」

 梨沙が20枚目の葉書に手を伸ばしたとき、佐渡山が口を開いた。

「あの男何者?」

 光流さんのことか。

「さあ……誰でもいいでしょ。関係ないよ」

 葉書にボールペンを走らせる。さどやまたたり……っと。

「たかしですけど」

「うそ、声に出してた? まあ祟りでいいんじゃない、この際。似合ってる似合ってる」

 人を脅してこき使うような奴だから、何を言っても悪いと思わない。お互い様だ。

「俺の予想はどっかの社長の愛人だけどどう? 当たり?」

 どうして一発で当たるんだ。


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