その結婚、取扱い注意!

突然の話

寝支度をしていると髪を拭きながら湊が入ってきた。

髪を拭く腕が動くたびに筋肉が隆起し、ワイシャツの上からではわからない男の色気に見るたびドキッとしてしまう。

そう言えば湊が紅緒さんに変身している時、服装はいつもジャケットなどを着た露出の少ないものだったな。

ノースリーブのドレスなんか着たら、紅緒さんのイメージが崩れちゃうもんね。

そんなことを考えていたら、おかしくてクスッと笑ってしまった。

「何がおかしいんだ?」

笑ったところを見られていてベッドに乗ってくる。

「え? あ、な、なんでもないよ」

紅緒さん時代を思い出していたなんて言ったら、絶対に不機嫌になる。

私は首を大きく横に振った。

それがわざとらしかったようで、湊は形のいい眉の片方を上げて私を意地悪く見つめる。

「言わないと、いいんだな?」
「え? い、いいんだなって?」

近づいてくる端正な顔にドキドキ心臓が暴れ出して私の瞳が泳ぐ。

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