その結婚、取扱い注意!
湊だった。

「湊!」
『すごく混んでいるんだな。やっと明日の朝の便が取ってもらえた。ヘルシンキ経由で成田に到着は朝の9時だ』
「朝の9時……それじゃ間に合わないよ!」

成田空港から都内まで電車でも1時間半かかる。車は渋滞などに引っ掛かったらそれ以上かかってしまう。

『式は時間を少しずらしてもらったから心配はいらない』
「湊……」
『田代部長に電話、代われるか?』
「えっ? う、うん。ちょっと待ってね」

急いで先ほどの部屋に行き、ドアチャイムを鳴らす。
小林主任がドアを開けてくれ、頭を下げると田代部長の所まで行く。

「田代部長、すみません。しゅ、主人が代わってくださいと」

田代部長は私の差し出すスマホをすぐに受け取ると、湊と話しはじめる。

「わかりました。スーツケースは私にお任せください。大変申し訳ありません。はい。はい」

田代部長は湊に謝ってから電話を切った。それから私を見る。

< 134 / 155 >

この作品をシェア

pagetop