恋が運ばれて
そろそろ9時だ。

何か食べようと思い、昨夜の残りの混ぜご飯と野菜スープを温めた。

レンジの音で彼を起こしてしまったらしい。

「紗由、俺も腹減った。」

「座ってて、運ぶから。」

私はトレーに乗せてテーブルへ運んだ。

「どう、こっちの椅子まで歩ける?」

「ああ、鎮痛剤が効いているから歩ける。」

「無理しないで、ゆっくり来て。」

二人で食べた。

私は外では料理家でも、自宅で作ることはなかった。

こうして誰かとご飯を食べることは自宅では有り得なかった。

以前は朝も夜も一人で外食する日々だった。

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