封船屋

この道を通る様になって一年ほど経つが、今まで気付かなかった。

最も、朝は遅刻ぎりぎりでで、たいがい急いで登校している。
まわりを気にするだけのゆとりなどない。
帰りは帰りで、友達と遊んだり、図書館へ行ったりしてるので、大抵帰る頃は薄暗かった。

気付かないのも無理はないかなと思った。




ほんの気まぐれだった。脇道を行ってみようと思ったのは。
普段なら行こうとはきっと思わなかっただろう。
だが今は、退屈な毎日に少し刺激が欲しかった。

脇道はコンクリートできちんと舗装されている。誰かしらは使っているんだろう。

車は通れないくらい狭かったが、人が二人並んで歩くには十分な道幅があった。
左右には、雑草に混じってタンポポやらクローバーが群生していた。

ずっと一本道だったが、所々少しカーブしている。どこまで続くのか分からない。
何度か引きかえそうかと思った。

しかし10分ほど歩くと、開けた所に出た。
こんな所があったのかと驚いた。


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