冷たい上司の秘密の誘惑
「篠田・・・ぶちょ・・・」

「どうした?どこか痛いのか?」

オレの言葉に、首を振った美穂。


「助けに来てくれて・・・ありがと」

美穂なオレにしがみ付いたままそう呟いた。


「でも、美穂を傷つけた・・・守ってやれなかった」

どんなに悔やんでも悔やみきれない。


「そんな事ない・・・最後までは、なかった、から」

「・・・え?」

オレは、美穂の顔をそっと覗いた。


「・・・その前に、篠田部長が、助けてくれたんです・・・

だから、・・・ありがとう」

涙を流し、辛いはずなのに、精一杯の笑顔を作ろうとする美穂。

…確かに、行為が最後まで行かなかったのは、不幸中の幸いではあったが、

やはり心の傷は、半端な物じゃないだろう。


「無理して笑うな・・・

今はとにかく、少しでも、美穂が安心してくれるなら、

どれだけでも抱きしめているから・・・」

美穂を抱きしめる腕に、少しばかり、力を込めた。

…少しでも、美穂が安心できるように。
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