冷たい上司の秘密の誘惑
「それなら、何の問題もない。

オレは美穂が好きだし、美穂もオレが好き。

相思相愛ってやつ、だな。

・・・ずっと思ってたんだけどな、いいかげん、

オレのマンションに、正式に引っ越して来い。

荷物もすべてオレの所に置けばいい。

一人でアパートに帰って、もしもの事があってからじゃ、

遅いと思わないか?」


誰もいない廊下で、篠田部長は言った。

…大好きな人に甘えるのは、守ってもらうのは、

決して、悪い事じゃない・・・よね?



「…本当に、引っ越してもいいんですか?」

「もちろんだ。ヒヤヒヤ、ハラハラするのは、もう嫌なんだよ。

いつもオレの目の届く所に置いておきたい。

このプロジェクトさえ終われば、美穂を連れて、本社に戻る。

…美穂は、本社には帰りずらいかもしれないと思って、

それなりの持ち場も、用意してある」



「?!・・・そんなの、初耳です」


「…そりゃあ、言ってなかったからな?

美穂の気持ち次第では、そのポストは意味のないものになる。

だから、もう、何も迷うな。オレが必ず、守ってやるから」


…これは束縛。

だけど、ちっとも窮屈なんかじゃない。

そこには、たくさんの愛が詰まってる事を知っているから。
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