冷たい上司の秘密の誘惑
…気が付けば、朝が来ていて、熱も少し下がってきていた。

・・・でも、まだ、38.0度。

横に視線を向けて、思わず目を見開く。


・・・仕事をして疲れてるはずなのに、

オレの看病をして、いつの間にか、座ったまま眠っている美穂。


オレはそんな彼女の頬に、そっと触れた。

…ピクッ。

どうやら目が覚めてしまったらしい。


「あ、部長、少しは良くなりましたか?」

目をこすりながら、そう問いかける美穂。

・・・その顔があまりに無防備で、思わず、抱き寄せた。


「美穂のおかげで、だいぶ良くなったよ」

「・・・」

「…美穂?」

…オレを見上げた美穂の顔は、明らかに不機嫌だった。



「嘘つき」

「・・・え?」


「熱、まだちっとも下がってないじゃないですか?」

「これだけ下がれば十分だ。今日は仕事に行くよ」

「ダメですよ!」

オレの言葉に、初めて美穂が怒った。


「…今日で、仕事が終わりなんだ。チェックだけだ。

それが終わったら、七日でも十日でも、ちゃんと休む、

だから、何も言うな」
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