冷たい上司の秘密の誘惑

【光世side】

クソッ！

何でこんな態度しかとれないんだ。

謝りたかったのに、謝る事も出来なくて・・・

それも、これも全部、誠のせいだ。


美穂と仲良くして、楽しそうに仕事をしてる。

美穂も、穏やかな笑みを浮かべて、凄く楽しそうで・・・


オレには絶対見せないようなあの笑顔が、気に入らなかった。


「出来もしない仕事やってないで、こっちに集中しろ」

こんな言葉は、美穂を傷つけるだけだってわかっていた。

それなのに、どうしても止められなかった。


『誠なんか見てないで、オレを見てろ』

そう言いたかっただけ・・・

言えるはずもない言葉を、別の言葉に代えて、

結局、美穂を傷つけただけだった。


なぜ、美穂の事になると、こんなにも、自分が自分じゃなくなる？

どんな部下に対しても、平等に接していけるオレなのに。


美穂の事だけは、平等に出来ない。

一生懸命な彼女を、

時々見せる、あの笑顔を、

すべて自分の物にしてしまいたい・・・

そう思えてならない、…この気持ちは何なんだ。