冷たい上司の秘密の誘惑
突然の声に、体がビクッとなった。

「間違い直して、再提出。出来もしない仕事やってないで、

こっちに集中しろ」


「・・・」
「篠田、お前」

思わず絶句してしまった私。私をかばいに入る三谷先輩。

そんな私たちを見比べている篠田部長の目は、とても冷たくて、

見終わるなり、どこかに消えてしまった。


…私、この部署で、やっていけるんだろうか?

篠田部長に嫌われて、どうしていいかわからなかった。

嫌われてもいい、私だって、大っ嫌いだったはずなのに・・・


…ヤバい。


また涙が溢れてくる。


「泣くならよそで泣いて来い、今は仕事中だぞ」

パソコンに目を向けたまま、三谷先輩が言った。


「わかってます・・・泣いてません」

私は涙をグッと堪えて、パソコンに目線を向けた。

・・・大丈夫。

そう思えたのは・・・

誰にも見られないように、

私の片手をギュッと掴んでくれてる三谷先輩がいてくれたから。
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