冷たい上司の秘密の誘惑
…デスクの上には、ホットコーヒーの缶が置かれていた。

どうやら、篠田部長が置いたらしい。


「あの、ありがとうございます」

「朝の詫びだ・・・」

「え?」

キョトンとする私に、ちょっとバツの悪そうな顔を、

一瞬だけ見せて、すぐに目線を逸らすと、仕事を始めてしまった。


…あの言葉に、後悔していたとは、思ってもいなかった。

温かなコーヒーに触れると、

言葉では言わないが、篠田部長が、何度も謝ってくれるような気がした。


そう思うと、自然と笑みがこぼれた。


「気持ち悪い顔してないで、さっさと仕事を終わらせろ」

「・・・は、はい!」

笑った顔を、篠田部長は見逃さなかった。

…気持ち悪い顔は、余計だが。


私は超特急で仕事を終わらせる。

仕事が終わったのは、午後9時になろうと言う時だった。


「部長、終わりました」

「・・・」
「・・・」


「…よし、合格」

その言葉にホッとする。
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