冷たい上司の秘密の誘惑
「これで、誰も、お前には手を出せなくなったな」

?!・・・そのまさかだった。

あろうことか、篠田部長は、私の首筋に、くっきりと、

それはそれは目立つキスマークを付けた。


…篠田部長の行動が、あまりにも不可解で、頭がパニックになる。


「か、彼氏が出来なくなっちゃうじゃないですか!」

訳の分からない事を口走る。…分からなくもない言葉ではあるが。


「一生出来ないようにしてやる」

「信じらんない!」


…パッチン。


それは、それは、部屋に響くほど、大きな頬を叩く音。

ちょっとやり過ぎたか、と思ったけれど、自業自得。

そう思う事にした。


「部長なんか、大っ嫌い!」

そしてようやく、私は部長からも、この部屋からも、解放された。



「…オレは好きだ…好きなんだよ」

逃げるようにして出ていった私には、篠田部長の呟く声は聞こえなかった。
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