冷たい上司の秘密の誘惑
私は静かに顔を上げた。

「…ぁ」

視界には言った恩人を見て、思わず口に手を当てた。

「こんな時間に、女一人で帰ってたら、今みたいに持ってかれるぞ」

「…し、篠田部長には関係ありません」

…そう、私を助けたのは、篠田部長だった。


「何が関係ないだ?オレがいなかったら、どうなってたかわかってんのか?」

「・・・それは」

「たまたまこの近くに用があったから助けたけど、全く」

「・・・」

ふと、篠田部長の手に目がいった。

篠田部長の手には、ティファニーの袋が。

誰かにプレゼント?やっぱり…女?

そう思っただけで胸がギュッと締め付けられた。


「助けてくれてありがとうございました。それじゃあ」

一秒でももう一緒にいるのは苦しすぎた。

私はサッと、篠田部長から離れた・・・が。


「待て、同じ目に遭いたくないならついて来い」

「え、ちょっと!」

抵抗する私を、路肩に止めていた自分の車に無理やり乗せた。

「大人しく乗ってろ、家に送るだけだから」

「・・・」

私は抵抗は止めたものの、ブスッとしたまま、窓の外を見ていた。
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