極上エリートの甘美な溺愛

玲華の悩みをあっけなく一蹴し、気に病むことなんて何もないと言ってのけた将平をもっと知りたいと。

玲華は予想もしなかった思いに囚われた。

「玲華の父さん、楽しそうに仕事をしてるんだな」

感心するような将平の声に、玲華は視線を再びショールームの奥に向けた。

仲間たちと充実した顔を見せている理市を見ながら、玲華は小さく息を吐く。

「自分が好きだと思うことを仕事にしている父さんって、素敵だったんだな。本当、格好いい。でも……たとえ、私がカエルじゃなくても、私は私だし……ふふっ」
 

玲華は明るく笑顔を浮かべ、そして、そっとその場を離れた。

将平も慌ててあとを追った。

ショールームから少し離れたところで、玲華はゆっくりと振り返る。

見上げると、目の前にそびえる高層ビルが、太陽の光を受けてきらきら輝いていた。

「あんなにたくさんの車を展示できるようなビルってすごいね。それに、すっごくきれい」

「このビルの設計を担当したのは、確か俺らの高校の卒業生の設計事務所らしいぞ。片桐なんとか……っていってたかな」

玲華の言葉に訝しげな声で答える将平も、隣に並んでビルを見上げた。

「設計か……それも、いいね」

再びビルを見上げる玲華。

日暮れ近い大通りにそびえるビル。

乱反射する夕日が眩しくもあり魅力的でもあり、目を細めながら見上げる玲華には、どうしても目を離すことができない輝いたものに見えた。
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