極上エリートの甘美な溺愛



篠田が仕事で組む設計担当は玲華だけではない。

もちろん男性社員と組む場合も多いが、女性社員と組む機会もある。

敏腕営業マンとして有名な篠田と組みたい設計担当の数は少なくはないせいか、篠田の担当に決まると、誰もが喜ぶ。

篠田の見た目がいいということもあるが、設計の世界ではその名を知らない者はいないといってもおかしくない会社に入社したという自負もある設計士なのだ。

自分の実力を高めるためにも、篠田と組んでみたいと思う社員は多い。

誰もが篠田と一緒に仕事をしてみたい、そう思っているはずだ。

何度も篠田と組んで仕事をすすめてきた玲華でさえ、一つの仕事が終わる頃には彼とまた一緒に仕事ができればと思う。

仕事を終える度に自分が成長できたような気持ちになるほど、篠田との仕事は勉強になる。

才能と魅力あふれる篠田と仕事をしている中で、篠田を好きになる女性がいないとは限らない。

というより、篠田と仕事をして距離を縮めれば、彼を深く知り気持ちが傾く女性がいるはずだ。

「沙耶香、きっと、というよりも絶対に篠田さんのことが大好きなんですね。
他の女性に取られたくなくて色々かわいいことをしちゃうくらい、大好きなんですよ」

思い返すような言葉は篠田に向けられてはいるものの、独り言のようにも響く。

ようやく篠田と沙耶香の関係がはっきりとして、玲華自身嬉しいのだ。

ふたりの関係に気付いていながら、その一方ではそれを秘密にしておきたいという沙耶香の気持ちも察することができた玲華には、沙耶香に事実を無理矢理問いただすことはできなかったけれど。

何度かその事実を匂わす沙耶香の幸せそうな表情を見ながら、二人が幸せならいいなと思っていた。

……幸せかどうかなんて。

目の前の篠田の表情を見ればわかる。

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