極上エリートの甘美な溺愛
「ん?どうしたの?」
「え?う……ううん、何もないけど……」
目の前の点心に箸をのばし、おいしそうにそれを頬張る沙耶香の顔からは、篠田との関係を窺わせるものは何も読み取れなくて、玲華は戸惑う。
あのピアスは、勘違いなんだろうかと、首を傾げていると。
将平の同僚である相沢慎の声が、その場に響いた。
「篠田さんじゃないですか?」
「……そうだけど?」
「夕べ放送されたテレビ番組の特集に優秀な営業マンとして密着されてましたよね。俺、同じ営業として憧れてます。一緒に飲みませんか?」
慎の言葉に、周りにいるメンバーたちは驚き一斉に篠田を見た。
住宅と自動車。
業種は違うとはいえ同じ営業の職に就き、その優秀さで名を馳せている篠田に対して慎が尊敬の念を覚えるのは当然だ。
特に、篠田の優秀な営業成績は雑誌やテレビなど、あらゆるメディアから注目を集めている。
玲華はテレビに篠田が出ていたのなら見たかったな、と妙なところにひっかかり、篠田を見つめた。
すると、篠田は肩をすくめ首を横にふった。
「いや、俺は、まだ仕事が残ってるから遠慮しておくよ。また機会があれば、その時にでも。それより、葉山は底抜けに酒が強いから潰されないようにな」
「し、篠田さん、余計なことを」
「ん?事実だろ?」
「まあ、そうなんですけど……わざわざここで言わなくても」