極上エリートの甘美な溺愛
すると、将平が面白がるような声で玲華に話しかけた。
体を前に乗り出し、玲華に言い聞かせるように落とされる言葉には深い意味があるのかと感じる。
「試乗会、どこでやってると思う?」
その言葉を聞いても、玲華には一瞬なんのことなのかよくわからなかった。
首を傾げ、思い返すように将平を見つめていると、ふとフラッシュバックのように浮かぶあの日の思い出。
「わかった。もしかしたら、あの、ショールーム?」
二人で行ったあのショールーム。
思い返せば、あれは亜紀自動車の本社だ。
思い出した玲華の言葉に、将平は満足そうに大きく頷いた。
その表情は夢を叶えた者だけが持つ、充実した艶やかさをまとっていて、玲華は目がはなせなかった。
再会して以来ずっと落ち着かない鼓動が、さらに速く激しくなっていくようだ。
「……すごいだろ?俺って」
「ほんと、思い通りの人生だね」
将平の言葉に、感嘆の声をあげる玲華。
高校時代の夢を現実にした彼に、賞賛の眼差しを向けながらそう呟いた。
すると将平は、寂しそうに視線を落とした。
「思い通りの人生か……」
どこか重苦しい言葉を落とす将平に、玲華は何故か違和感を覚えた。