極上エリートの甘美な溺愛

翌日。

玲華は朝早くから画面に向かい、図面をおこしていた。

昨日の打ち合わせ内容を入力しながらも、思い出すのは将平のことばかりだ。

高校を卒業して以来、会うこともなかった将平への気持ちは、とっくに思い出のひとつへと形を変えていると、そう思っていた。

好きだったという気持ちを忘れることはないにしても、心の片隅に封印できていると油断していた。

「甘かったなー」

玲華は手元のマウスに視線を落とし、小さくため息を吐いた。

長い間、思い出すこともなかった。

この8年間、長続きしないながらも恋人ができたこともある。

長続きしない一番の理由は、玲華の仕事が忙しくてすれ違いが続くせいだろうと考え、諦めていた。

休日が合わないことも理由のひとつかもしれないし。

今の仕事を続けている限り、恋人と長く付き合うなんてできない。

けれど、どこかで、将平のことをふっきれていなかったのかもしれない。

潜在意識のどこかで、恋人を将平と比べてしまう残酷さがあったのかもしれない。

将平と再会した瞬間に感じたその思いによって、玲華はこれまで付き合った数少ない男性に対する申し訳ない気持ちが溢れた。

そして、久しぶりの将平の声や笑顔が、夕べからずっと玲華の中に居座り続けていた。

何度、スマホに登録された将平のメアドや電話番号を呼び出しては見つめただろう。

玲華はベッドに入ってもなかなか眠れず、仕事があるから早く寝なくては、と思いながらも、浅い眠りを繰り返して朝を迎えた。
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