極上エリートの甘美な溺愛

医学部進学が決まっていた純太は、若さゆえの情熱からか玲華を将来は院長夫人にするとまで言い、その思いの熱さに将平は圧倒された。

自分が玲華を好きだという気持ちよりも純太のその思いの方が強く、玲華にはこの熱意こそ必要なのかもしれないと感じた将平は、玲華への思いを封印する事にした。

当時から女性にかなりもてていた将平は、自分や、付き合ってきた女の子の気持ちの移り変わりをいくつも経験していた。

どれだけ好きだと思っていても、付き合っていくうちに気持ちは薄れていき、次第に消えていく。

自分を好きだと言ってくれる女の子たちだって、同じだけの気持ちを返してもらえないとわかった途端、離れていく。

そんな流れは当然なのかもしれないが、何度も経験するうちに、人の気持ちを繋ぎ止めていくことは無理だと、そう思うようになっていた。

そんな冷めた感情を抱えていた将平にとって、純太の熱い思いは衝撃的で、自分よりも玲華を幸せにできるんだろうと勝手に結論付け、自分は身を引いた。

たとえ今、切ない気持ちで満ちていても、これまで自分が経験した恋愛と同様、卒業すれば玲華への気持ちも消えていくものだと思っていた。

そして、そんな感情に囚われていた将平が、勇気を振り絞って気持ちを伝えた玲華を受け入れることはなかった。
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