極上エリートの甘美な溺愛

けれどそのことは、玲華だけではなく、将平自身にも大きな悲しみと後悔を残した。

卒業式当日、将平はこれから玲華とは簡単に会えなくなることを実感し、寂しさが溢れた。

友達同士で写真を撮っていても、視線はいつも玲華を追っていた。

玲華の気持ちを受け入れてはいけないと、自分で決めたことだとはいえ、それを後悔するという感情にも戸惑い、これまでには味わうことのなかった焦燥感を知った。

卒業式を終えたあと、玲華は友達と写真を撮ったり、涙を流しながら抱き合ったりと、卒業式に感じる寂しさを露わに見せていた。

彼女が流している涙の中に、自分への決別の意志をも見てとった将平は、そんな玲華を見ているのがつらかった。

そして、自業自得だなと自分に呆れながら、ふらり、一人裏庭へと身を移した。

自分の気持ちを落ち着かせようと、裏庭のベンチで過ごしていると、将平を追ってきた美保が、無言のまま将平の隣に腰を下ろした。

視線を合わせ、泣きそうな表情を隠そうとしない美保から、好きだと伝えられた。

いつも自分の周りで笑顔を見せていた美保の気持ちに気付いていた将平は、玲華への思いを封印し、そして美保へ逃げた。

思わず。

そう、思わず、美保の気持ちを受け入れてしまった。
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