極上エリートの甘美な溺愛
玲華が待ち合わせの店に着いたのは22時になろうかという頃だった。
将平は、店の前に止まった篠田の車からおりる玲華を見て驚き、視線を動かせずにいた。
親しげに玲華と話す篠田を睨み、両手はぐっと握られている。
運転席の篠田に別れを告げ、大きな図面ケースを手に店に入ってきた玲華はすぐに将平を見つけ、照れくさそうな表情を浮かべた。
将平に向かって嬉しそうに目を細める様子に、将平はほんの少しだけ落ち着きを取り戻す。
「遅くなってごめんなさい。二次会のお店の時間は大丈夫?」
「ああ。遅くなるって連絡してるし、知り合いの店だから、大丈夫」
「だったら良かった。こんなに遅くなる予定じゃなかったんだけど、子供部屋でもめちゃってね」
「子供部屋?」
「そう。私が今担当しているお客様の家には三つ子ちゃんがいてね、個性がばらばらで希望もばらばら。構造的に無理な注文ばかりしてくるから最後は小学生相手に本気で喧嘩しちゃった。篠田さんがいなきゃ取っ組み合いだったかも」
ふふっと笑いながら将平の向かいに座った玲華は、注文を聞きにきた女の子に「ごめんなさい、すぐに出ます」と言いながら頭を下げた。
仕事帰りのせいか、少し疲れが見えるその様子もまた大人になった玲華を感じさせ、将平はじっと見入った。