極上エリートの甘美な溺愛
美保以外の女の子からの告白でも受け入れただろう程度の軽い思いで。
玲華を自分のものにできない寂しさから逃げるように、ただそれだけの理由で将平は美保を受け入れた。
けれど、玲華の側にいられない寂しさを抱えたまま美保と付き合っていても、美保の気持ちを将平につなぎとめておくことができるわけもなく、そして、将平がつなぎとめる努力をするわけでもなく。
大学入学後しばらくして、二人は別れた。
それからの将平は、何人かの女性から告白されながらも受け入れることはなく、心の片隅にはいつも玲華の残像が見え隠れしていた。
直接玲華と連絡をとることも、会うこともなかったが、不完全燃焼のまま終わった高校時代の恋が、将平の中にくすぶり続けていた。
中途半端なまま残っていた恋心。
それに気付かない振りをしていただけで、忘れてはいなかったと、夕べの再会で思い知らされてしまった。
封印は解かれてしまったのだ。
将平は、鳴る気配のないスマホを見ながら苦笑し、小さく息を吐いた。
高校を卒業して以来、まさか玲華と再会し、彼女と待ち合わせをすることになるなんて思いもしなかった。
きっと、このまま縁が繋がることもなく、それなりの女性と恋愛をして、それなりの幸せを掴むんだろうと思っていたけれど。
「もう、遠慮はしない」
ふと呟いたその表情からは、何かを決意した強さが見えた。