メガネの天使

初めてのキラキラ

本日、佳乃の立てたスケジュールは分刻みの慌ただしさ…

何処に入ったのかサッパリ分からないランチを飲み下して次の予定へと駆り出される‼

ここは優花と智美が通うヘアサロンbijou(ビジュー)

現在…

鏡の前に座る私を無視した女3人+(プラス)女性のような喋り方でしなをつくる男性美容師さんが何やら真剣に相談中‼

「可愛いからってスタイリングの難しいのはNGだからね…
長さはそのまま…もしくは少しカットするだけにして…
ヘアアレンジも簡単に可愛く出来る!ってのが理想…
カラーリングも初めてだから奇抜にならないようにナチュラルな感じで…」

3人は美容師さんに言いたい放題好き勝手な物言いで私の方がいたたまれなさに体が小さく縮こまる

「うーーーん

それじゃあーー長さは変えないように、ほんの少し毛先をカットして透いて軽さを出してーー
毛先に動きを出すためにーーゆるふわ感のあるパーマをかけてーー
元々明るめの髪質だからーーアッシュ系のミルクティブラウンかマシュマロブラウンでカラーリングするってのはどうかしら?」

「「「うん!イイかも‼」」」

本人に関係無くヘアスタイルが決定した…

「おと…髪やってもらう前にコンタクト入れよっか!」
メガネを外した私に佳乃がそう言った

「これが右用で、こっちが左用…間違えないでね
どう?付けた感じは…」

「うわぁ~~~メガネしてないのに良く見える‼って当たり前か…あはは」

そんな頓珍漢なやり取りを見ていたオネェ美容師さんが自己紹介をしながら先ずカットが始まった

「はじめまして♡
本日担当しまーす加賀美でーーす
お友達の指示通りにバッチリ仕上げるので楽しみにしててね~♪」

ケープを纏い鏡に映る自分の顔は何だか初めて見た気がするほど馴染みが無い

メガネを外した自分の顔は…いつもぼんやりと輪郭とパーツの在りかが分かる位にしかハッキリせず

メガネを掛けた自分の顔は…度の強いレンズの向こうで小っちゃくなった目と顔の半分を占めるような
大きな黒縁フレームに他のパーツが霞んでしまい地味な自分が切なかったから…








< 27 / 48 >

この作品をシェア

pagetop