sweet memory ~奏大side~
「奏大、お前あれはないだろ」
「……」
「はっ!?もしかして何のことか分かってねーの?」
「……」
「ったくー!会話だよ会話!何で車に乗り込むなり、資料なんて見てんだよ!バカナタ!」
「……」
「あんなんじゃこの結婚嫌だって言い出すんじゃねーの?お前がそれでも良いって言うなら……ってー!」
「うるさい。黙れ」
「んだよ!だからって蹴ることねーだろ?全部本当のことなんだからよ」
「……はぁ。わかった、努力する」
「まぁ、確かに昔は花菜ちんが喋りかけてきてたから会話が成り立っていたかもしれないけど、今は記憶がないんだ。花菜ちんは初対面だと思ってるんだから、お前がどんどん話し掛けてやらねーと!」
「……わかってる」
「本当かよ」
奏大の言葉に淳平は苦笑いだった。
そうこうしているうちに、会社に着いてしまった。
「っち…タイムアウトか」
そう言うと、淳平は運転席を降り、後部座席に回ってドアを開けた。