sweet memory ~奏大side~


「ま、奏大が仕事中で繋がらないときは俺の携帯に連絡してこい」

「創、ずりー!ねぇねぇ、花菜ちん。後で俺とも連絡先交換してね」

「…はい」

「……それより、その匂い」







今まで黙っていた奏大が口を開いた。
しかし、花菜には奏大が意図している意味が理解できず、クレッションマークを浮かべていた。
余程、花菜から匂う香りの存在が気になっているのだろう。
何もわかっていない様子の花菜を見た奏大は、ますます機嫌が悪くなっていた。









「微かに香水の匂いがする。朝はしなかったが、学校で付けたのか?しかも、その香水は男物だ」

「いえ、私は…」

「相変わらず、匂いに敏感だな。その分だと何の香水かも分かってるんだろう?」

「あぁ」

「ちなみに、花菜は香水は付けない。しかも男物の香水となると、余程密着しないと匂いは移らない」

「……何が言いたい」








創の言葉に奏大はルームミラー越しに睨みつけた。
しかし創は、奏大のそんな様子にも気にも止めず、話を続けた。


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