レンタル彼氏【完全版】
「何で送らせてくんないの」


聖はへたりながら、私に向かって文句を言う。
だけど。

「必要ないから」


「~~~~~~」


今度は頭をぐしゃぐしゃとしながら、何か呻いている。

「ふは、どしたの?」

その様子が面白くて、笑いながら言うと聖は顔を上げた。


「ははっ、ははは」

聖も同じ様に笑いながら、立ち上がる。
それから急に真顔になると私の肩を掴んだ。


「……ど、したの?」


「いずちゃん」


「…………」


「飲み、行かない?」


「…………は?」


いきなり、何言いだすんだ?


「ダメ?」

ねだるように上目遣いを見せて聖が言う。


「……ダメ」

即答すると、聖はしゅんとした。
そんな聖を見てちくっと、罪悪感。



「…………今度、ね」


だから、そう告げる。
しゅんとしていた聖がぴくっとしながら、目をキラキラさせた。



「………今度?」


「今日は勉強したいから、また今度」

聖は更に目をキラキラさせて、満面の笑みで何度も頷いた。




こんなことでここまで一喜一憂出来るかねえ。
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