レンタル彼氏【完全版】
俺を一人にしないって言ったじゃないか。



あいつですら、もうこの手には入らないんだよ?


まだ、思っててくれてるんじゃないか。
そんな、浅はかな願いは見事に砕かれたんだから。

今、近くに鈴恵さんもいなくて。



一人の部屋に寝転んでると、本当に孤独なんだと思うんだ。



レンタル彼氏、なんて。
もう二度としたくない。


でも。

レンタル彼氏をしていた時は。


美佳も。
お金も。
時間も。
恋人だって。
何もかもを手にしようと思えば出来たんだ。


美佳。



俺はね、きっと不幸でいたかったんだ。



だって。
それが母親に出来る唯一の親孝行なんだ。


愛していたハズの旦那との子供に刺されて死ぬ最期だなんて。


なあ、考えられる?



だから、俺が出来る親孝行はこれぐらいなの。

幸せになったらいけないんだって。
そう、思うんだ。


藻掻いて。
幸せを求めて。
打ち砕かれて。


そんな俺が辿り着いた答えがこれ。
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