レンタル彼氏【完全版】
…………そう、思うんだけどね?


俺。


やっぱり、泉が欲しいんだ。


バカみたいに泉だけを想ってるんだ。


あんなことがあっても。
まだ、泉を想っているだなんて。


俺って…とことん、幸せになれないのかな。



あの日。
仕事が終わって、俺は美佳と会ったんだ。


相変わらずの美佳にホッとしていた。
鈴恵さん以外、会話をしていなかったから。

美佳は事件のことを何も語らなかった。

俺を責めるなんてことしないで、ただ俺を抱き締めたんだ。

辛かったね、ただその一言だけを呟いて。



外で毎日を送っていた俺にどうしてそんな言葉、かけられるんだろう。

そう、ずっと思っていた。


それから美佳とは、たまに会うようになった。

コンビニで働く美佳は、今までしたこともない仕事内容に感動しながら俺に話をした。


給料が本当に少ないこと。
好きなモノが買えないこと。

色々、愚痴を交えながら美佳は昔のようにたくさん喋った。
< 432 / 813 >

この作品をシェア

pagetop