レンタル彼氏【完全版】
震える手で、再度携帯に手を伸ばす。


もう、喉がからからだ。


真っ青な、その携帯の画面一面に。


俺がずっと。
会いたくて会いたくて。

焦がれていた泉がいたんだ。



高校を卒業した泉は、少し大人な雰囲気が出ていた。
あの時みたいな、幼くて元気あるイメージがそこにはない。


………………泉。


髪の毛も伸ばしていて。
メイクもうまくなってて。


………聖の、彼女……?



ずっと。


「…………俺だけを見てろって…………。
……………約束、したじゃないか」



伊織、好きだよって。



自分がハマることから逃げる為に、身勝手に手放したくせに。

もう、三年もほったらかしなのに。
まだ、思ってろだなんて。



どれだけ、図々しい。
ふてぶてしい。
あざとい。
醜い。




でも。




泉なら。



また、会えるって思っててくれてるんじゃないかって。


心のどこかで微かに期待をしていたから。
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