レンタル彼氏【完全版】
美佳は真っ直ぐに俺を見た。

背けたくなるぐらいの、その真っ直ぐな瞳を俺も見つめ返す。



「………正直に言って。
何があっても、伊織を警察に突き出すようなことはしない」


「……………」


言っていいのか。
そんなこと、わかるわけなかった。



…………でも。




次に俺の口から出た言葉は。




「…………俺が、刺した」




罪を、認める告白。

何故、口に出してしまったのか。


罪悪感から逃れたかったのか。
一生一人で背負う覚悟がなかったのか。




………それとも。







美佳を信用していたのか。



「…あの男を刺そうとしたんだ。
それを母親が庇って…」



そして。




――――――………そして


…………殺した。




「………っっっ…………」


何て、何てことをしてしまったのだろう。
今頃になってしたことの重大さに気付いた。



…俺は人殺し…。




しかも、実の母親を殺したんだ。
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