レンタル彼氏【完全版】
「会社では意外としっかりしてるよ?俺」


「…信じられない」


「だろうね、泉と会った時はフリーターだったわけだし」


「そうだよね?!いつ働き始めたの?」


「…この、後」


バツが悪そうに笑うと、聖は手首の傷を見せながら言った。


皮膚が突っ張って、はっきりわかるわけじゃないけど、しっかり見たらすぐにリスカ痕だとわかる。


それを見て、息が詰まった。



「あの後から、しっかりしなきゃって思った。
いずちゃんに悲しい顔させらんないってね」


「……聖」


「好きだからね、いずちゃんのこと」


「……うん」



聖は傷痕が残る、その手で優しく頭を撫でてくれた。


「私も聖、好きだよ」


「うん、知ってる」


「だから、クリスマス出かけようね」


「うん、イルミ見に行こうよ」


「行きたいっ」


聖は笑うと、甘いモン食べに行こうかと前へ歩きだした。
それに頷くと、私も足を踏み出す。


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