建築散歩
散歩道と建築物
わたしには

どうしても中に入ってみたい建物があった



いつもの散歩道に

それはある


古い建物だ


だが とても面白い

優雅で密やかな、だが、揺るぎない堂々とした美しさが

そこには建っている


チラリと覗く度に

その空間への憧れは増していった。


そんな憧れを抱いたまま時は流れた。


ある日

再び散歩に出ると

会社であるその建物が

ステンドグラスの展示場として開放されていた


私は一人
静かに心の中で狂喜した


あぁ 願いというものは
いつかは知らないが、きっといつか必ず
叶うものやも知れない

とすら思える喜びであった


そして今日の夕方

いよいよ私はその場所へと向かった

先日は散歩の格好だったので断念していたが

今日は違う

可愛らしい服を来て

胸いっぱいの期待の中歩いてゆくのだ


たどり着くと

重い扉が開いていた

階段を数段あがると

そこは夢にみた
あの空間が私を迎えてくれた

吹き抜けから二階が見える

いくつもの白く丸い柱の頭には上品なモチーフがある

私が愛した映画『1999年の夏休み』の舞台のようである。

< 1 / 5 >

この作品をシェア

pagetop