『世界』と『終』  ——僕がきみを殺したら——




あくる朝、ホームルームの時間になっても、教室に西森のすがたはなかった。
主が不在の机と椅子を横目にながめる。僕の携帯に連絡は入っていない。


ホームルームを終え、教室を出ようとする担任教師をよびとめた。
僕が話しかけてくるのが意外だったのだろう。いぶかしげな視線をよこす。


表情をこしらえながら、手短に、西森の出欠について問う。欠席なのか、遅刻なのか。

単純な疑念に、心配をブレンドした表情は、いつもの無愛想な顔とたいして変わらない気がした。


担任教師が眉をくもらせる。迷い、ためらい、しゃべろうかどうしようか逡巡している胸のうちが見てとれる。嘘のつけないひとだ。

しゃべれ、と僕は念じた。


「・・・きみは、知らないのか?」


なにをですか、と問い返す。
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