Sweet Room~貴方との時間~【完結】
「堅苦しい感じはこれでおしまい。食べよ」
 宏実さんの一言で空気が和らいだ。

 次々に運び込まれてくる上品な味の料理を食べながら、これからのことや涼太の小さい頃の話をした。
「2人の新居はどこにするんだ? マンションのことは気にしなくていいぞ。知り合いに貸せば、メンテナンスや掃除も気にしなくて済むからな」
「その事なんだけど、あのマンションで暮らそうと思うんだ」

 これは結婚すると決めた時に最初に話し合ったことだった。お母さんとの思い出が詰まっている場所を他人に貸すのも、空家にするのも、売るのも、いいと思えなかった。それなら、私達が住めばいい。それに、事務所への通勤も問題ない。引越しの手間も涼太の方は省ける。それに私は最近引っ越したばかりだから、荷物も少ない。

「奈央美さんはそれで……」
「はい。実は、彼から部屋の合鍵をもう貰っていて。すみません、みなさんのご実家なのに」
「いや。それいいんだよ。奈央美さんは涼太のお嫁さんだし。いや、新婚なんだから、自分の理想の部屋を探して住みたいんじゃないかと思って」
「私は、あのマンション好きです。温かい空間が広がっていて、とても安心するんです」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。引っ越したくなったら、気にせずに引っ越していいから」
「はい」

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