Sweet Room~貴方との時間~【完結】
「杉山、ほら飲みなよ」
「ああ、はい」と言って、喉を鳴らしながらビールを流し込む。
「杉山、いい飲みっぷり。ここの小鉢とか焼き鳥、絶品だから。何頼む?」

 メニューを前に持っていき、筆文字で書かれているメニューを目で追う。

「あの、さこ、じゃなくて、軟骨の唐揚げとか焼き鳥の盛り合わせとか、頼みません?」

 さこって、何? そんなメニューないじゃん。まあ、いいか。
「そうね。あと冷奴も頼もうか」
「そうですね」

 杉山が唐揚げやらを頼み、私は大好きなビールをグビグビ飲む。最近『natural jewelry』のことがあって、飲みに行く時間が全くなかった。
 これからもっと忙しくなるんだし、今日くらいは好きに飲もう。

「そんな早いピッチで飲むと、すぐに酔っ払いますよ。アルコール、そんなに強くないんでしょ?」
 杉山は心配そうな顔でこっちを見ている。

「大丈夫だよ。まだジョッキ1杯だし。これぐらいじゃ酔わないわよ。この前みたいなことにはならないから。ちゃんと1人で帰れる程度でやめるわよ」

 いくらなんでも、これくらいじゃ酔わないわよ。
 美味しいおつまみを食べながら、テーブルには空のジョッキやグラスが増えていった。

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