Sweet Room~貴方との時間~【完結】
「顔とか洗うなら洗面所どうぞ」
「ありがとうございます」
「タオル、これ使って。使い終わったら、洗面所の横にあるランドリーボックスに入れておいて」
「はい」

 キッチンへ入って、冷蔵庫の中を覗きながら、紅鮭の切り身と生卵を見比べる。  
 杉山はご飯派、パン派、どっちだろう? 無難に和食にするか。
 見比べていた食材を冷蔵庫から出して、定番の朝ごはんを作り始めた。ご飯、豆腐とわかめのみそ汁、鮭の塩焼き、厚焼き玉子。
 なかなかの出来栄えじゃない?

 キッチンからリビングを覗くと、杉山はソファで携帯を弄っている。
 あ、寝癖直ってる。寝癖を直している姿を想像して、小さな笑いがこみ上げてきた。

「ごはん、できたよ」
「はい」
 スツールに座るのと同時に杉山は「美味そう」と言った。

「お口に合えばいいけれど。じゃあ、食べましょう」
 私が隣りに座ると「はい。いただきます」と言って、杉山がお箸とお茶碗を持った。

「うん。いただきます」と言い、私もご飯を食べ始めた。
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