Sweet Room~貴方との時間~【完結】
「お腹空きませんか? お昼、どこで食べましょうか?」
「敬語に戻るんだ。なんで急に敬語やめたの?」
不動産屋から出るといつもの杉山に戻っていた。車を発進させながら、杉山は軽く笑っている。
「俺たちの関係性を家族とか恋人に見てもらうためです」
「こっ、恋人!」
私の過敏な反応に杉山は益々笑う。その状況をごまかすように、さっきもらった物件の間取りを眺めた。
「変な意味じゃないですよ。不動産関係って、女性が1人で見に行ってトラブルに巻き込まれたってことも聞きますし。まあ、滅多にないと思いますけど。仮に男が付いていても、そんなに親しい関係じゃないって思われると、意味ないでしょ。だから敬語を使わなかったんです。気を悪くしたのなら、すみませんでした」
「別に嫌とは思わなかったから。気を使ってくれたありがとう。物件、落ち着いて見ることができました」
「どういたしまして」
――ヴヴヴヴヴヴヴヴ
自分のカバンからマナー音が聞こえてくる。スマホを取り出すと、そこには元彼の名前が表示されていた。どうするべきかわからなくて、ただ画面をじっと見つめる。
「敬語に戻るんだ。なんで急に敬語やめたの?」
不動産屋から出るといつもの杉山に戻っていた。車を発進させながら、杉山は軽く笑っている。
「俺たちの関係性を家族とか恋人に見てもらうためです」
「こっ、恋人!」
私の過敏な反応に杉山は益々笑う。その状況をごまかすように、さっきもらった物件の間取りを眺めた。
「変な意味じゃないですよ。不動産関係って、女性が1人で見に行ってトラブルに巻き込まれたってことも聞きますし。まあ、滅多にないと思いますけど。仮に男が付いていても、そんなに親しい関係じゃないって思われると、意味ないでしょ。だから敬語を使わなかったんです。気を悪くしたのなら、すみませんでした」
「別に嫌とは思わなかったから。気を使ってくれたありがとう。物件、落ち着いて見ることができました」
「どういたしまして」
――ヴヴヴヴヴヴヴヴ
自分のカバンからマナー音が聞こえてくる。スマホを取り出すと、そこには元彼の名前が表示されていた。どうするべきかわからなくて、ただ画面をじっと見つめる。