プラチナブロンドに愛されて!!
「お赤飯とかはないよ」
「あるよ」
へっ?
手に持っていた紙袋から取り出したのは…二段重ねの重箱。
「祖母ちゃんとお袋が持たせてくれた」
あ、そう。
先生もおばさんもやっぱり冬真に甘い。
上の段にはだし巻きや鯛の塩焼きやほうれん草のごま和えや野菜の煮物。
下の段にはお赤飯。
「立派ね、朝から」
「イギリスに行く朝にも祖母ちゃんやっぱり赤飯炊いてくれたんだ」
うん。 我が家でも何かお祝い事がある度にお赤飯が出てくるもんね。
あっ!
「お吸い物」
どうしよう?
具がないよ。
「ん、インスタント入ってる」
再び紙袋から出てきたのは冬真の家が経営している老舗旅館が出しているお吸い物。
抜かりはないわね。
「ありがとう」
お湯を沸かしてお吸い物を作り
「はい、どうぞ」
「ん。いただきます」
「冬真、就職おめでとう」
「あ、ん。ありがとう」
「頑張るんだよ」
「ん」
嬉しそうな顔で
「琴も食えよ」
「うん、いただきます」
お皿に取り分けて一口
「うん、美味しい」
久しぶりに先生の手料理はやはり美味しい。