クリスマス残夢


どちらが悪い訳じゃない。
私だって、悪いところはある。
よくわかっているのに。


少しぐらい汲み取ってほしい。我儘でしかないとしても、優しくしてほしい。少しぐらい触れてほしい。


あの頃に戻りたい。


私の気持ちは伝わらない。
もはや諦めるしかないかもしれないとは、薄々気づいてる。


でも……


ふと視線を落とすと、あなたの左手の薬指に結婚指輪。新婚当初の輝きはないけれど、今もなお確かな存在感を放っている。


どんなに大喧嘩をしても外さずにいてくれるのは、まだあなたに気持ちが残っているからだろうか。少しでも私を思ってくれているからだろうか。


諦めきれない気持ちが再燃する。


年を重ねたから照れ臭くて、気持ちを表に出すことができないだけかもしれない。などと、自分勝手な期待ばかりが脳裏をよぎる。


本当に、バカだな。



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