ムーンウォッチャーズ
月にかけた小さくて大切な約束
あたしは今日も、夜空を見上げる。

自分の部屋の窓から、顔を突き出して。








<ねぇ、見てる?>





そんな問いを、月に投げかける。

声には出さず。










<約束、忘れてなんかないよね?皆。>







忘れてたら承知しないからね、なんて思いながら、あたしは微笑む。








<そっちは月、見えてる?こっちはね、満月が、綺麗だよ。>





あの時と、おんなじようにね――。






あたしは、目を閉じて、記憶が蘇ってくるのに任せた。








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