Your smile once again
「洸」

名前を呼ばれてハッと我に返る。

「葵」

俺は少し疲れたように、そう言った。

「……洸が、調子悪い理由くらいわかる。明らか不自然だしね、2人」
「そーかよ」

ふん、と俺は葵から目を逸らした。

葵は少し離れて、俺の隣に座った。

「もういい加減、中途半端はやめろよ」
「わかってんだよ……」

頭をかきむしった。

「……あのさ」
「……ん」
「俺、洸なら許す」

そう言われて、葵に目を移す。

葵は、少しさみしそうに笑った。

「佐々木が一番楽しそうにしてんの、洸といる時だから」
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