Your smile once again
「キレイな宿だねー」


四時頃、宿に着いた。


歩き回ったせいで足が痛い。

部屋は、八人部屋だ。


寝れそうにない。

「あれっ。琴那ちゃんお風呂入んないの?」


「後で入る」

そっかぁ。萌が残念そうに言う。



誰かと一緒に入りたくはない。

お風呂から上がって、部屋に戻る。

ルームメイトが、布団の上で顔を寄せあっていた。

恋ばなムードだ。


「洸くんと、ひまわり、どっち派!?」


ある女子が言う。

どっち派ってなんだ。どっち派って。


「んんー。洸かなぁ。やっぱ、かっこいいし!」

「ひまわりだってそうだよぉ」


聞いているつもりはなかったのに、耳について来る。

「……」

つまらない。

私は気づかれないように部屋を出ていった。


ロビーで缶ジュースを買った。

みかんの味が口に広がる。


時計を見ると十二時だった。


「あーぁ……」
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