【続】恋愛のやり直し方
きっと、彼の口から言い出せずにいるのだろう。




だとしたら、私の口から……

マグカップを手に新聞を読んでいる彼の横顔を見ながら、私はフーッと息を吐いた。



片付け途中の食器をその場に置いて、濡れた手をタオルで拭く。





友田の座るソファーには人一人分のスペースが空いている。

彼はいつも隣に私の座るスペースをあけて座る。



習慣のような、当たり前になっていた。




だから、私も何の躊躇もなく彼の隣に座る。





新聞に向けられていた視線が、私の方へと移動してくる。





「終わったの?」




その声色はいつもと変わらない




「う……ううん。まだ……なんだけど」




「どうしたの?何か困ってる?」





手にした新聞とマグカップをテーブルの上に置いて、私の方へ身体ごと向き直した。

その目に映る自分の顔は、酷く怯えているように見える。
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