縛鎖−bakusa−
 


その先生は上機嫌で矢野先生の現在の勤め先の高校名を調べ教えてくれた。



同じ市内の少し離れた場所にある公立高校にその先生は居る。



水谷徹のノートを持つ怨師が居る。




――――――…


数日後、今にも雨の降り出しそうな曇り空の日、

私はいつもの通学用ではない別のバスに乗っていた。



学校は休んだ。

今日は英語の小テストがあるのだが、そんな物はどうでもいい。



無機質なバスの手摺りに掴まり車窓を眺める。

「クヤシイ…」と呟きながら…



水谷徹の想いは、私の中に根を張り成長し続けていた。

彼の悔しさは私の悔しさ…

そう言っても過言ではない程に。




見知らぬ高校の前でバスを下りた。


登校時間はとうに過ぎている。

生徒の姿のない正面玄関に入り、外靴を脱ぎ、靴下のまま廊下を歩いた。



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