縛鎖−bakusa−
 


静かな廊下に授業中の知らない教師の声が響いている。



校舎と言う物は、どこも似たり寄ったりの造りだ。


2階に上がりこの辺りかと思う場所に向かうと、難無く職員室に行き着いた。



ノックもせずにガラリと開けて中に入る。

授業中の為、教師は殆ど出払っていて数人しか居なかった。



矢野と言う教師は15年前は26歳なので、今は41〜42歳だ。


ざっと見渡してその年齢に該当する女性教師は職員室には居なかった。



入口近くのデスクに座っていた中年小太りの男性教師が、私を見て眉根を寄せた。



「君、どこの学校の生徒?」



自分の学校の制服を着ている私。

ここの生徒ではないのは一目瞭然だ。



どこの生徒かと言う質問を無視して聞き返す。



「矢野先生はどちらのクラスで授業中でしょうか?」



「矢野先生?今は2のBの現国の……

あっ!こらっ!君待ちなさい!勝手に余所の学校に来ては……」





2のB。

この職員室を捜している時に確か通った。

そこに向けて廊下を走る。



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