星ふる夜に…
「ところで、ゆな」

耳元で低い声を出す茜ちゃん。

「な、なに?」

うろたえると、更にトーンを落として

「わたし、もう一つ、言いたいことがあるの」
「え」

今度は身構える。私なんかしたかな…。

「ちゃん付け、やめない?」
「…へ?」

思わずぐるんと椅子を回してしまった。
茜ちゃんも椅子と一緒に回って机にぶつかる音がする。

「あ、ごめんっ」
「いたぁー」

慌てて謝ると唇の端で笑いながら顔をゆがませてみせる。

目が合って、思わず沈黙…。

………。

やがて、お腹のそこの方からふつふつと嬉しさがこみ上げてきて

「「ふふっ」」

2人して笑った。

「あっかね」
「ゆーなっ」

呼び合ってまた笑う。
本当にこの人は、どれだけ私を魅了するつもりだろう。
にこにこ笑い合いながら思う。
こういうのを親友っていうのかな?
もしそういう関係でずっといられるとしたら、いつか話せるかな?
本当はさっき、私がちっとも笑っていなかった訳を。


『細木先生と付き合ってたの?』


耳の奥でこだまする…。
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